赤 兩椛(せき りょうか)です。
前回の続き⇒五行(十干)の性質は陰陽で異なる②
同じ五行でも陰と陽では性質が異なる事を書いています。
先日こちらの記事で、ザっと「初心者向け!五行の性質と各十干の長所と短所について。①」五行と十干について書きましたが、今日はもう少し深堀りして、「同じ五行(十干)でも、性質は陰と陽で大きく異なる」について書いてみたいと思います。
※その働きは命式によって異なります。命式全体で判断しましょう。
五行と陰陽はどちらが古いの?
結論から言うと「陰陽論」の方が五行説より古いとされています。
世界を構成する基本原理は2つで(陽は動・明・表、陰は静・暗・裏、等)「太極(たいきょく)」という混沌から陰と陽が分かれ、天地・万物が生まれるという考えになります。
☝皆さんご存じの太極図
五行説は世の中の事象を「木・火・土・金・水」の5種類の要素で説明する理論となり、陰陽論に比べてやや後発らしく、体系的に使われるようになったのは春秋戦国時代みたいです。
戦国時代の思想家・鄒衍(すうえん)が「陰陽五行説」として融合させたことで、現代の命理学・中医学などの基礎になったみたいです。
●陰陽論とは、2つの対立と調和であり、宇宙原理やバランスを表したもの。
●五行説とは、5つの気の循環と相互関係であり、自然や季節・人体や空間を表したもの。
五行に陰陽を加える理由は、単純な五分類ではとらえきれない実際の現象や人の性質を、より立体的で精密に理解する為にくっつけたのかな?と思っています。(ここは詳しく調べていないので間違えてたらスミマセン…)
それでは前置きが長くなりましたが、本題の「五行(十干)の性質は陰陽で異なる②」を初心者さん向けに分かり易く書いていきますね!
まず甲・乙!
(上記のリンクページに詳しい事は書いていますが)木の性質はまっすぐ上に伸びていきます。春には陽気が盛んになり、甲も乙も上へ上へと伸長する特徴があります。
甲は理想高くリーダー気質、権威主義的な部分はあります。 「甲木参天(こうぼくさんてん)」
向上心と成長がテーマです。どこか人から頼られたいとか、カリスマ願望もアリ。
根があり水が適度にあるとイキイキした木になりますが、湿り過ぎた木であったり乾燥し過ぎた木だと、良い木の状態が発揮できず、腐木なら鬱になりやすく、乾木だとカッとなりやすく攻撃的だったり炎上傾向があると考えます。
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乙は字の如く、くねっていますので、しなやかさや柔軟性を表します。「乙木雖柔(おつぼくすいじゅう)」
そして、草花は人に絡みつく蔓草にたとえられる性質を持ち、「寄らば大樹の影」気質があるという事⇒乙にとっての「大樹」は兄の(甲)となり、「権力」「実力」「影響力のある人」の影で、日差しや雨風を避ける安全な場所、つまり保護・庇護の象徴と考えます。
ボク甲兄ちゃんに絡みたい!
乙から見ると、「頼るなら、力があって頼もしい存在(甲)にくっつきたい!」という性質です。
「雖柔といえども、必ずしも弱きに非ず」⇒弱そうに見えるが、現実的で、打算的?世渡り上手(したたか)な一面があるかも。
次は丙・丁
丙はラスボス。陽性の最たるもの。自分自身で輝く力を持っています。「丙火猛烈(へいかもうれつ)」
ボク、助けは要らないよ~自分で輝けるから
海面湖面を照らし自分の発散するエネルギーでキラキラ輝かせ、皆に分け隔てなく光を放ち華やかで目立つ存在です。
良く出ると公明正大さがあり、自分の意思や個性を打ち出すことに長けておりリーダシップをとれるけれど、(一方的に万物に影響を与えるので)悪く出ると悪目立ちしやすかったり、思った事をすぐ口にしてしまいトラブルを起こす事もなきにしもあらず。
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丁は陰の火。蝋燭や囲炉裏の火を表し、静かに燃え続ける。「丁火柔中(ていかじゅうちゅう)」
ヒッソリ周りを照らす炎
いつ消えてしまうか分からない火(灯)となるので、火源となる木(甲)があると燃え続けられます。
表面的には物静かで穏やかに見え(良い意味で)計算しながら動ける人です。内面はデリケートでムッツリ系。皮肉屋な面を持ちます。
おとなしく見えますが、時として火山の爆発のような激しい面を持ちます。
次は戊・己!
戊は山や大地。固くて丈夫。どっしりと中央に座する。「戊土固重(ぼここじゅう)」
ボク、威厳あるかな?
戊土は、山でもあり大地でもありますが、土性は用途によって使用する土が異なります。
例えば堤防の場合、固い土でないと水をせき止められません。地支に何が来ると良いのか?を考慮しないといけません。
戊は頑丈ですが変化への対応には戸惑いがありますが、スピードがユックリな分、安心・守り・信頼をもたらします。リーダー気質も持っていますが、甲や丙とはまた出方が異なる。
この4字が連なることで、「動じずどっしりとした、重厚で信頼できる性質」を連想させます。
しかし腰が重くスピード感がない事で、損をしている部分はあるかも知れません。
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己は畑や田園。潤いのある土で作物を育てる「己土卑湿(きどひしつ)」
作物を育てるのはパサパサな乾いた土より潤いのある土じゃないと育ちませんよね。
多少乾燥していても自然のままの地力で育つ作物もあれば、庭園や景観のために人工的に土を盛り上げて作った土がありますが、「田園の土はどのような状態か?」でその人の性質が異なってきます。
そこは干支の配合で判断していきます。
己は慎重で守りの強い性格ゆえ、時代の流れに適応しにくかったり動きが遅い所はありますが、基本的には人の命の源「食」を生産する場所なので、使命は「人の役に立ちたい人」と考えます。
次は庚・辛!
庚は殺気を帯びた刀や斧でとても固い金。「庚金帯殺(こうきんたいさつ)」
土から出てきた金(庚)は泥を洗い、上図のように燃料で炎(丁)を熾し金(刀)を鍛錬し、よく切れる武器にしなければなりません。
即決できる冷静な決断力や改革心を持っていますが、「自分の考えが正しい」と思いこみ進んでしまう傾向もあります。正義感が強い事は良い事ですが、時に人の心を思いやれず一方的な攻撃性が強まったり、自分自分の正論を振りかざしてしまう事になる時があります。
「七殺」は強すぎる力。使いこなせば英雄、失敗すれば破滅。
切れ味の良い(静かに正しさを燃やす剣豪)を使命とすれば、社会で活躍できます。
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辛は柔らかく繊細な金属。宝石・砂金「辛金軟弱(しんきんなんじゃく)」
美しい水で透洗される事を喜び、土で汚される事を嫌います。美意識は高め。
辛の繊細さ・扱いの難しさ的な部分はあります。攻撃に対しては敏感で防御線を早めに張ります。
「軟弱」となっていますが、基本は金は固いく、人によっては要らないものをそぎ落とす事が出来る。隠された強さはあるので、雑に扱えば脆く砕けるが、丁寧に磨けば最高級の輝きを放つ干です。
最後は壬・癸!
壬は流れる事に意義がある。「壬水通河(じんすいつうが)」
「水の通路を得て自由に流れている」状態。つまり、水が本来の力を存分に発揮できる理想的な状態です。停滞は好みません。
上図のように河面に反射させ丙(太陽)の輝きを更に引き立てます。
陽水は、大きく動く知性・開放性や冒険、知的で国際的でもあります。
壬水が極端になると、感情が希薄で共感力がなくなったり、自分勝手な行動をとりどこへ流れつくか分からない状態(放浪)、破壊の津波(壬)になって、すべてを無くしてしまう恐ろしさも。
スケールが大きく豊かである反面、制御不能になると破壊的だからこそ、丈夫な堤防を持つ事が必要。
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癸は流れない水。「癸水至弱(きすいしじゃく)」
癸は植物や作物、生き物に潤いを与え、人間にとっても欠かせないものが水になります。
霧や小雨など極めて繊細で、今にも消えてしまいそうな水のイメージ。
しかし、単なる「弱さ」ではなく人々に需要な役割を果たしています。潤いがある⇒人に対し優しくあったり、気持ちの余裕を表します。
癸は一人の力よりグループ所属に安心感を持つ所があります(少し乙に近い)。マイナス面は邪推(根拠なく深読みし)判断するような一面や、(表立っては人に合わせているので見せないけれど)嫉妬深さが意外に強いです。
さいごに。
同じ五行でも陰と陽ではまるで雰囲気がちがいます。
たとえば、甲木と乙木、丙火と丁火、(他五行続く…)は木・火という本質を同じくしながらも、その性質は陽と陰により分かれ、まさに同根異質の関係。
一般的には陽は強く(リーダ的存在で強い)、陰は弱い(後からついていくタイプで従順で弱い?)とされておりますが、私の個人的感覚では陽は単純(素直)で、陰は複雑(ひねくれ)だと思っています。
それらも全て命式の配合で異なってきますが、五行判断のみでは読み切れない事も多く奥が深いです。
それでは今日はこの辺で。